ご無沙汰しております、すごく久しぶりの更新になります。ピエール伊東です。
今回はセル絵の具の制作工程をまとめさせていただこうかと思います。
現代のセル絵の具の技術開発をした関君の許可を頂き記事を描かせていただきます。
セル画でアニメが作られなくなった理由としては、デジタル移行の影響もありますが、同時期に
・セル絵の具の販売が終了し、制作方法がデジタル一択しかなくなった。
・国内産のセル(アセテートフィルム)の製造が行なわれなくなった
という状況も大きく影響しています。
今回「セル画でアニメを作ろう」ということで、セルは電子機器の制作用のアセテートフィルムをA4サイズで発注し、パンチマシンで穴あけ加工をすることにより制作が可能でしたが、問題は絵の具でした。
セル絵の具の販売自体は現在も在庫があるようでされていますが、ホビー用の小さな小瓶でしか製造されていないという問題が発生しました。
困った挙句、「自分たちで作ろう!」という結論に至りました。
セル絵の具に必要な要素としては以下の3つがポイントになります。
・セルに塗ったとき、光に当たっても透けない
・一般の絵の具をはじきやすいセルに定着する
・セルに厚く塗った後に割れたりしない
の3点が重要なポイントです。
セル絵の具は、一般の絵の具にゴムが混ぜてある絵の具です。
ゴムが混ざることによって、フィルムと接着され、割れない絵の具になります。
ゴムに代わる定着材を友人の関君が色々な定着材を代用して研究しました。
透けやすい黄色のポスターカラーにメデュームやジェッソといった画材を混ぜ、疑似的なセル絵の具を作れないか実験している動画です。
様々な絵の具を試してみた結果、多目的ボンド「Gクリヤー」が一番良いという結果が出ました。
(関君が折角色々な画材から定着材を探してくれたのに、まさか工作用品から見つかるなんて・・・そんなぁ・・・)
Gクリアの決め手は、主原料がアラビアゴムであること。
ゴムの混ざった絵の具が理想的なので、まさにGクリヤーは理想の定着材です。
少量のセル絵の具の場合
・ポスターカラー
(全色に若干白を混ぜてあるため透けない)
・Gクリア
(定着材)
・水
(濃すぎるセル絵の具に若干混ぜるといい)
ポスターカラーの瓶にGクリアを若干の粘り気が出るまで混ぜ、水を少量入れて濃さを調整したものが、セル絵の具に非常に近い感触で塗れる絵の具になりました。
この方法なら個人でも作りやすいですし、パレットでも作ることができます。
東映アニメカラーのカラーチャートを持っている人であれば近い色を調合して、セル画に彩色できます。
趣味でセルを彩色する分には、ポスターカラーで十分ですが、アニメを丸々1本作る場合、それでは足りません。
そこで色々考えた結果、ペンキを使用して作るセル絵の具を考案しました。
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FRP用ペンキあるいは多目的ペンキにGクリアを混ぜてセル絵の具にするというものです。
FRP(強化プラスチック)に塗装できるペンキなので、セルへの定着は勿論のこと、意外な結果だったのが「ポスターカラー+Gクリアよりも塗りやすい」という点でした。
裏から彩色するセル絵の具と違って、表から
塗ることを前提として制作されているFRP用ペンキ、塗った後に色むらも出にくく、水をあまり混ぜなくてもきれいに彩色できます。
作った関君曰く、3原色+白があれば、ほとんどの色が制作可能とのこと、すごい!(混ぜると彩度が下がるためそこだけ注意が必要)
セル絵の具を開発した関くんという人物はとても面白い人です。
映像を作ったり、立体物を作ったり、プログラミングをしたり、ゲーム機を分解したり、様々な経験が豊富な私の尊敬するクリエイターの一人です!
彼の作品がとにかく色々すごいのでよかったら皆様も見てみてください!
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田中けん一 (月曜日, 15 7月 2019 22:39)
メルカリにセルなどを出品しましたが、アニメ絵具の入手方がわからないとの問い合わせが寄せられて、調べるうちにここにたどり着き、この素晴らしい情報に驚くとともに感動しました。この驚くアイデアのあるサイト情報を商品説明の中に記載できますようお願いしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
バイトくん (日曜日, 29 12月 2024 10:13)
参考になりました。ありがとうございますm(_)m